東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
秋は私に慌てて近づいて、私の前に立ちはだかる。



「…婚約者とは言え…このような不躾な行為は…」



「…俺たちは愛を確かめ合っていたんだ…貴様の方が無粋ではないか?使用人」



愛ってーーー・・・



中尉殿は愛を足枷にしか思っていないと…



「まぁ、いい…貴様の相談事は分かった…こちらでも詳しく調べて…近日中に返答する」



中尉殿は立ち上がって、上着を正した。



「ありがとうございます」



「ふん。礼など要らぬ。俺と貴様の仲だ」



「・・・」


私の胸が不規則に高鳴り出す。
中尉殿は何食わぬ表情で帰ってしまった。





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