東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「成宮はどう思う?」



「何を?」




「あ…すまぬ…樋川は信用できると思うか?」



「貴様は信用できない男に頼み事したのか?」



「それは…」



成宮は俺の痛い所を突いた。



「貴様のように信念と言うモノは樋川にはないが…ああやって…のらりくらりと人生を立ち回って行ける…男の方が…どんな状況下にも順応していけるんだよ」



「成…宮?」



いつも…ぞんざいな感じの成宮が真面目に俺を諭した。



「…夕食の支度が出来ているそうだ。行くぞ」
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