東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
6幕 没落シカケノ令嬢

ー柾史sideー

樋川に調べさせた借金の額に愕然とした。



「…中尊寺家は屋敷と大半の財産を失う計算です」



「父上はこの件を御存じなのか?」


「…はい…俺が報告しました」


「で、何と?」


「鎌倉の別荘は残るのかと訊いておりました」



「別荘?」



「以前に一度…行かれた事があって、景色が綺麗らしいですよ」




「別荘は残るのか?」



「俺の計算では残ります」



「俺と椿との結婚も破談にはならないと言うワケか…」



「…はい。唯…没落してしまった中尊寺家では意味がない…結婚式は早まりそうです」


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