東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
沐浴を済ませ、中尉殿の居る寝室に戻る。
彼は深い紺の単衣姿で窓辺の肘掛椅子に座り、煙草を吸っていた。
「…沐浴…終わりました…」
「あぁ」
電灯の光の中で見る中尉殿の顔は複雑だった。
「…不束な者ですが…よろしくお願いします…中尉殿」
「征史で良い…」
「しかし…」
「俺は貴様の夫だ…軍人の階級で呼んで欲しくはない…」
「わかりました…ゆ、ゆ、征史さん」
「…寝るぞ」
彼は煙草を灰皿にもみ消して、電灯のつまみに指をかけて消した。
寝室は暗くなり、窓から降り注ぐ月明かりだけが部屋全体を照らす。
彼は深い紺の単衣姿で窓辺の肘掛椅子に座り、煙草を吸っていた。
「…沐浴…終わりました…」
「あぁ」
電灯の光の中で見る中尉殿の顔は複雑だった。
「…不束な者ですが…よろしくお願いします…中尉殿」
「征史で良い…」
「しかし…」
「俺は貴様の夫だ…軍人の階級で呼んで欲しくはない…」
「わかりました…ゆ、ゆ、征史さん」
「…寝るぞ」
彼は煙草を灰皿にもみ消して、電灯のつまみに指をかけて消した。
寝室は暗くなり、窓から降り注ぐ月明かりだけが部屋全体を照らす。