東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
8幕 初夜ノ朝

ー椿sideー

「椿…貴様…起きるんだ!」


低い声が私を名を性急に呼ぶ。


微睡みの中…私は瞳を開けて上を見つめる。



「朝だぞ…」



「!!?」


上半身に何も身に着けていない征史さんが寝坊した私を睥睨するように見下ろしていた。


「申し訳ありません…」



私は身体を起こして懸命に頭を何度も下げた。



「…先が思いやられる…」


「申し訳ありません…」



「謝るのは構わんが…その破廉恥な姿を何とかしろっ!」



征史さんはそっぽを向き…肘掛椅子に掛けたシャツに袖を通した。



「破廉恥とは…?」

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