東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
9幕 嫁ト姑
ー椿side-
征史さんたちを見送り、ホッと吐息をついた。
「椿さん…旦那様を見送った後で貴方に話があります」
定子さんが私に耳打ちする。
「はい、わかりました…お義母様」
「…貴方に母と呼ばれたら虫唾が走るわ…」
「・・・」
定子さんは用件だけを言い放ち、先に扉の中に入って行った。
帰る家がない私はこの針の筵のような屋敷で住むしかない。
「椿さん…旦那様を見送った後で貴方に話があります」
定子さんが私に耳打ちする。
「はい、わかりました…お義母様」
「…貴方に母と呼ばれたら虫唾が走るわ…」
「・・・」
定子さんは用件だけを言い放ち、先に扉の中に入って行った。
帰る家がない私はこの針の筵のような屋敷で住むしかない。