東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
彼を受け入れ、痛む下肢を堪えながら眠りにつく。


そして朝を迎えたーーー・・・

昨日の夜が私と征史さんにとっての初夜だった。

征史さんは私を起こさずに着替えを始めていた。



「あ、あの…着替えの支度…お手伝いします」


私は身体を起こしてベットから下りた。



「起きていたのか?」



「はい」



彼は上着を羽織って、釦を留めようとしていた。


私が近寄り、釦を留めていく。



軍服越しでも彼の広く厚い胸を感じる。


私は昨晩、淡き月明かりの光が注ぐ中。

彼の鍛えられた胸に抱き締められたーーー・・・



ポッと頬が紅潮して手が止まってしまった。



「自分でする…貴様は自分の支度をしろ」



「申し訳ございません…」


私は彼から離れてペコリと頭を下げた。









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