上々、花日和


ホテルに到着して、荷物を広げる。
ラナイと呼ばれるベランダがある部屋は小ぢんまりとしていて素敵だけど、海がないや。

はっと時計を見て、16時半まで少ししか時間がないことに気付き、急いで支度をする。

16時半を少し過ぎてロビーに行くと、永富さんが待っていた。

濡れても大丈夫な服装、と言われたのでショートパンツにTシャツを着てきた。

「ごめんなさい、遅れました」

「平気、平気。行こう」

誘い出してくれたのはなぜかしら。佑香の知り合いだから?接点がないことに違和感を抱きつつも、誘いに応えてしまった。
外国だから?


「カタマランヨット」

「え?」

通りから一本入ったところにワイキキビーチが現れる。夕暮れ間近のビーチにはうじゃうじゃと人が多い。

目の前にカタマランヨットと呼ばれる船がある。

「サンセットクルーズより絶対楽しいから」

「え?」

「船とか大丈夫?」

「…あ、たぶん大丈夫です」

手続きは永富さんがしてくれた。
ぞろぞろと人が船に乗り込む。

乗車口は海面にあるので、ああそれで濡れても大丈夫な服装、と。
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