上々、花日和
「ここは、何なんですか?」
「秘密」
「えー」
よくよく考えなくても、昨日からの状況は明らかに非日常だ。
見知らぬ人が私を知っていて、私と付き合いたいと言ってきた。
調子に乗って私はその人の家だと言う所で一夜を過ごして、恋愛してる気分に酔ってる。何か企みでもあるんじゃあ…
私はこの人を信用して…いいのだろうか、と不安がよぎる。
バギーの行き先も不明。
私はずっと俯いたままだった。ついに怖い気持ちが爆発しそうになって、
「…あっ、あのっ!」
悲鳴に近い声で言ったと同時にバギーが止まる。
「着いたよ」
「…これ…」
目の前には左右に植物がトンネルのように続くものがある。植物は木じゃなくて、太い茎のようで葉がとても大きい。見上げると実のようなものが上部に成っていて…
「…バナナだ!」
「大正解、ここは友達の農園なんだ」
プププとまた満足そうな笑顔を見せる永富さん。
妙に疑って怖がった自分が恥ずかしくなった。
誤解が解けたら安心して気が抜けて涙が出た。