上々、花日和
「初めてハナちゃんのこと見た時、ドキッとしたんだ。運命云々じゃなくて、解いてあげたくなった」
「解いて?」
「すごく我慢してるなーって。その時の表情だけで何がわかるかって言われそうだけど、そう感じた。それで守ってやりたいって思ったんだ」
「守ってやりたい?」
「その後、佑香ちゃんにはそれとなく聞いたんだよ。でも彼女はそんなことを俺には教えない。だけど、何度か佑香ちゃんと話してるうちに、このハワイの話を佑香ちゃんが提案してくれたんだ」
「…永富さんって…ストーカー?」
「ちっ、違うしっ!!!」
「ぷっ、あははははは」
「ハナちゃん?」
「…いや、えっと…そういうこと思われていて、私は見知らぬ人と会うことになっていたのかと思うと…ていうか、佑香のやつ…前フリなしで…」
佑香は私のことを一生懸命考えてくれたんだろう。
ああ見えても恋愛や人間関係にはしっかりしている。
永富さんは私にとって大丈夫な人間かということも考えての答えだったんだろう。
そう思うと、
「私は愛されてるなぁ…」
胸がじーんとあったまった。
「ハナちゃん…恋愛とか、俺は急ぎ足じゃなくてもいい」
「…うん、私もゆっくりって言ったよね…」
「うん」
「…でも……」
私はそう言って永富さんの肩に手を置き、
「え…」
「もう止まんないかも…」
と言って永富さんにキスした。
「ハナちゃん」
「見極めて解いてくださいね」
ざわざわとバナナの葉が揺れる音がした。