上々、花日和


「あの…それで…私のことは?」

私の頭の中では、永富さんが言った言葉を思い出していた。前に一度会っているという…

「二年前に一度日本に戻って来た時に、会社の食堂でハナちゃんに会ってる。社員証を見て部署と名前は見た」

「こわっ」

やっぱストーカーじゃん!

「そのあと、今年の4月に佑香ちゃんと会ってるのを偶然見かけた。佑香ちゃんの会社とは昔から贔屓にしてるから…」

「ああ」

「佑香ちゃんひっ捕まえて、今回のハワイに繋がったというわけ」

ちょっと照れ気味に永富さんが言う。

脳裏に佑香のニヤニヤ腕を組む姿が思い浮かぶ。

「あと、ごめん。連絡しなくて…」

ほんの数日、連絡がなかったことを詫びる永富さん。

「大丈夫です」

落ち着いて言ってるつもりだけど、それは胸のドキドキを隠すため。どうしてもあの夜を思い出しちゃうから…
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