SS男子の落とし方
「ちょっと待ってよ!」

早歩きで歩き出した咲也君の後を
小走りで追いかけた。


今日は追いかけてばっかだなぁ...



「特別な意味は無くても、私は嬉しいよ?」


その言葉に反応したのか、
咲也君がクルリと私の方を向く。


「...ホント、安く飼えて助かるよ。」


「犬じゃない!」


「はいはい。
御褒美やったんだから
明日からも頑張ってね、偽彼女さん?」


優しく笑う咲也君に
また、心臓を掴まれた。

私、これ弱いかも。


気づかないフリをしていた気持ちが、少しずつ動き出す。


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