SS男子の落とし方
それから咲也君とお昼ご飯を食べて、ショッピングモールで買い物を楽しんだ。


だけどその間、咲也君の携帯は鳴りっぱなしで終いには、咲也君が携帯の電源を切ってしまった。


「行って来ても良いよ。」


意を決して、咲也君に言った。


「は?何処に?」


「マリアちゃんの所に。」


「何、 言ってんだ?」


「だって咲也君、ずっと気にしてるでしょ?

私は咲也君が今日来てくれて嬉しかった。
それだけで十分だから。」


頑張って笑顔を作る私とは対照的に、咲也君の顔は歪んでいく。


「そんなに俺、上の空だったか?」


「うん。
咲也君をいつも見てたら、誰でも気づくと思うよ?」


「ストーカーっぽいな、オイ。」


二人とも下を向いて、店のジングルベルだけが聴こえた。
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