SS男子の落とし方
簡単に気づかないでよ。

何故か泣きたくなった。

冬休み、ずっと気にしてた自分が馬鹿みたい。


「芽依?」


咲也君は手を離すと、その手で頬を包み込んでくれた。


「そんなに痛かった?」


「すっごく痛かった。」

少し涙で滲んだ世界には、心配そうに私の顔を覗き込む咲也君がいた。


「ふふっ。
今日は心配してくれるの?
いつもなら絶対、笑うくせに。」

カーディガンで目を擦ると、今度は困った顔をした咲也君がいた。



「...浮気したら絶対、許さない。」


「は?まだ言ってんのか?」


「もう言わないから大丈夫。」


「やっと信用して貰えたか?」


「それはどうでしょう?」

咲也君が少し不満そうな顔になった。
< 255 / 379 >

この作品をシェア

pagetop