SS男子の落とし方
次の時間、私は前の席の椎谷君を観察していた。


至って普通。


成績トップなだけあって、チラッと覗いたノートはとても綺麗だった。



トントン。


椎谷君の隣の席の女の子が彼の机を叩いた。



「椎谷君。」


小さな声で彼女が話す。


「何?」


「教科書忘れたから見せてくれない?」


「は?意味不明。
自分が悪いんでしょ?
俺に頼らないで。」



音を立てて私の椎谷君のイメージが崩れてゆく。



女の子、泣きそうじゃん。


言い過ぎでしょ、椎谷君。
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