嘘と微熱と甘い罠
「もーっ!!いつもいつもいつも!!なんで仕事が入るのよ!!…相良っ、おかわりっ!!」
「…はいはい」
相良と飲むのは初めてじゃない。
同じ案件を抱えることも多いせいか、月に何度かはこうやって飲みに来る。
同期だし、気楽に話もできたりする。
「だいたい宣伝部ってそんなに仕事あるわけ!?」
「…さすがにそれは宣伝部に失礼だろ…」
「だとしても、笠原さんに押しつけすぎでしょーが!!」
ダンッ、と音をたてて。
空になったジョッキをテーブルに置いた。
…いや。
叩きつけた、と言った方が正しいかもしれない。
そのくらい私の鬱憤は溜まっていたのだ。
「…だから笠原さんはやめとけって言ったじゃねぇか」
憤慨する私を横目に。
相良は静かに、かつ冷やかに言葉を吐いた。