嘘と微熱と甘い罠
3杯のビールとオレンジサワーをジョッキに半分くらい飲んだ頃。
「お疲れーっす」
その言葉どおり。
若干お疲れ気味な相良の声が聞こえてきた。
それとは対照的な賑やかな声が相良に応える。
「やっと来たかぁ!!」
「お疲れーっ!!」
「…なんでこんなテンション高いわけ?」
「いいじゃねぇかよーう!!楽しもうぜぇ!!」
「うわー…うぜぇんだけどー…」
「相良くん、冷たいっ!!」
来るなりいきなり絡まれて。
相良も大変ね…。
なんて。
少し離れた席で同僚に絡まれる相良の姿を。
他人事のように横目で見ると。
私は目の前のジョッキに手を伸ばした。