嘘と微熱と甘い罠
私が焦ってることに気づいてる。
気づいてて相良はさらに言葉を続けた。
「…ひょっとして、妬いてんの?」
「んなっ!?」
「俺がお前のとこ行かないで、他の女と話してたから?」
「違う!!」って言いきれない。
当たらずとも遠からず、だ。
恥ずかしさでいっぱいの私は。
ニヤニヤと意地悪く。
すべてを見透かしているような顔から逃げるように俯いた。
でも。
相良がおとなしく私を逃がしてくれるわけがない。
少し腰を屈めると、俯いた私を横から覗き込んできた。
「な…っ…!?」
「妬くなよ、ばぁか」
…違った。
相良は覗き込んできたんじゃなくて。
小さな痛みと共に。
私の首元に紅い小さな花を咲かせて。
また意地悪そうに唇の端っこを持ち上げた。