嘘と微熱と甘い罠
「やめとけって何度も言ったのに。それでも告白したのは天沢だろ?」
「上手くいったじゃない」
「上手くいってないからウダウダ飲んだくれてんだろーが」
「それ言ったら身も蓋もないからね」
相良は静かにジョッキの中で光る黄金に口をつけながら、左手で枝豆を拾う。
私もつられて枝豆に手を伸ばした。
相良の言うことも間違ってない。
それはわかるよ?
でもさ。
まともにデートすらできないこの寂しさともどかしさ。
そのくらい愚痴らせてよ。
…私の奢りなんだから。
なんて。
心の中で毒づきながら。
右手に持ったジョッキの中身を空にする。
「焼き鳥盛り合わせとビール、追加で!!」
「はいよー」
カウンターの中から勢いのある返事が聞こえた。
…今日は飲んでやるんだから。
覚悟しとけ!!