嘘と微熱と甘い罠
今は頭にのせられた手さえも罪悪感へと変わる。
が、どうにか乗りきれた安堵感からなのか。
ハァァァァァァ、と。
盛大なため息が無意識に吐き出された。
相良は笠原さんがいれば変なことはしないだろうし。
笠原さんの“この後”も。
相良がいれば逃げられそうな気がする。
「あっ!!相良!!」
笠原さんが相良に会う前に、相良に事情を話しておかなきゃ。
じゃないと話がおかしくなっちゃう。
これでもし相良が残業必至だったらどうしよう。
そうなったら私も笠原さんの約束…断ろうかな…。
思うように会えない笠原さんからのお誘いなのに。
私の心は憂鬱だった。