嘘と微熱と甘い罠
そして。
そのイヤな予感は的中する。
「天沢」
「なに?」
「後ろ、向いて」
「なによ?」
肩を掴まれ、クルリと相良に背中を向けさせられる。
そして。
下りていた髪を左右に分けられた。
「ちょっ…相良っ!?」
「じっとしてな」
その言葉と一緒に降ってきたのは。
露になったうなじへの違和感。
私がバカだった。
意地悪な顔をしてる相良の言葉なんか聞かなきゃよかった。
首の後ろに感じた違和感。
それは。
相良の唇が触れた感覚だった。
「なっ…なにして…っ!?」
「この間やられたから…ん…」
「ちょ…っ!?やめ…っ!!」
擽ったさと、身体の奥から沸いてくる疼きに。
無意識に身を捩りたくなる。
でも。
相良の唇から与えられる熱には抗えなかった。