嘘と微熱と甘い罠
頭の上と首元
…なにがどうしたらこうなるんだろう。
「誰でも大なり小なり1度くらいはしてんだろ」
「俺、したことないですよ」
「浮気は男の甲斐性だって言うぜ?」
「そんな甲斐性ならいらないです。てかそれ、いつの言葉ですか」
目の前の2人はビール片手にヒートアップしてる。
この場にいる私の存在なんて。
今はないに等しいんじゃないだろうか。
「浮気のボーダーってどこだと思う?」
「それは個々の感覚の違いじゃないんすかね」
「相良の考えは?」
「心がブレても身体がブレても浮気は浮気、でしょ」
「ボーダーとは違うけど、俺は本命以外とキスはしない」
「…それ、堂々と言えることですか?」
一発触発のピリピリとした雰囲気が辺りを覆う。
軽く話を進めていく笠原さんと。
何一つ笠原さんの言葉を肯定しない相良。
この2人。
なぜか【浮気】について真剣に議論してる。