嘘と微熱と甘い罠
相良と笠原さん
カタカタとパソコンのキーボードを叩く音に。
パラパラと資料が捲り、紙が擦れる音。
発注先やら他部署に行っているらしく。
この部屋には片手で数えられるほどしか人はいない。
そんな中。
私は隣のデスクの相良と一緒に、パソコンの画面を覗き込んでいた。
「ココ、色変えた方がインパクトあるよな」
「赤、とか?」
「…白もありじゃね?」
2人で宣伝部からあがってきた新商品の販促物のチェック。
この画像が発売前のポスターになるってんだから責任重大。
いかにインパクトを与えるか。
そして。
そのインパクトには購買意欲を与えられるか。
なにせ相手は新商品。
絶対成功させなきゃいけない。
だから。
妥協は許されない。