嘘と微熱と甘い罠
「ひょっ…ひゃひゃひゃっ!?」
い…痛い痛い痛いって!!
それに近いっ!!
近い近い近いっ!!
顔、近い…っ!!
まだオフィスには何人か人が残っている。
何事かと視線を向ける人もいたけれど。
それが相良と私だとわかると。
「あぁ、またか」と、何事もなかったかのように、元の動作に戻っていた。
体中の熱が、一気に顔に集まる。
その熱は私の頬を掴む相良には。
確実に気付かれているだろう…。
そう思うと、恥ずかしくて恥ずかしくて。
視線だけでも相良から逃げられないかと試みる。
でも。
相良は私から視線を外してくれない。
「…思いっきり“なにかありました”って顔してんじゃねぇか」
頬を掴んだまま、相良は眉間に思いっきりシワを寄せた。