嘘と微熱と甘い罠
酔っぱらいとお姫様
細かい気泡がキラキラ、キラキラ。
頭上の灯りに照らされた粒は。
黄金には光るジョッキの中で踊るように揺れている。
そのジョッキに。
「冷えてるうちに、さぁどうぞ」的に誘惑されている私は。
すでにその誘惑にのっていた。
…いや。
のった“ふり”をしていた。
「ビール追加お願いしまーす」
「はいよーっ」
オフィスにいた時の湿っぽさは感じないように。
私はいつも以上に高いテンションでお酒に料理にと手を伸ばす。
「…おい」
「んー、なにー?…あ、これ美味しいね」
テンションの高い私に対して。
普段の飲み方とはまるで違うスローペースな相良は。
怪訝そうな顔を見せた。