嘘と微熱と甘い罠
隅に置かれたフロアーライトがほんのり照らす部屋の中。
ベッドに寝かされている私を見下ろす影。
頬に手が添えられ、ゆっくりと近づいてくる唇。
唇は私のものに触れるか触れないかのところに落とされる。
―ちゃんと、してくれないの…?
―…今は無理。
―なんで?
―…キスしたら…全部バレそうだから。
そう言いながらも。
チュッ、チュッとリップ音をたて、頬やら顎やらに唇は落とされる。
―なにが?なにがバレるの?
―…いろいろ。
―なにそれ?教えてよ。
―…知ったら後悔する、きっと。
―気になるよ。
指先が撫でるように頬から首筋へと滑ってくる。
そして。
その指先が胸元に辿り着いたとき。
ちょっと掠れた声が耳元で囁いた。
―…俺に抱かれたら、わかるよ…。