嘘と微熱と甘い罠
それなのに。
「じゃあ思いきって紅白にする?」
「なにがそんなにめでたいんだ?」
「相良の頭の中身?」
「…その言葉、そっくり返してやる」
「なっ!?」
このヤロウ、ケンカ売ってんの!?
相良の頭の中なんて。
1年365日お花畑じゃない!!
「あのねぇ…っ!?」
「2人とも、漫才してないで仕事しろ」
「あ…」
いまいち真剣さが足らないように見えたらしく。
課長がため息混じりに言葉を発した。
「意見を言い合うのはいい。でもお前らのは漫才だ、漫才」
課長がちょっと大袈裟なくらいに「ハァ…」とため息を吐くと。
相良もそれを真似るようにため息を吐いた。