嘘と微熱と甘い罠
微睡む頭の中。
パシャパシャと微かに水の音が聞こえてきた。
なんだ今の夢。
なんて夢見てんだろ、私…。
薄らとまぶたの向こうに感じたのは、光で。
でもこの微睡んだ時間から抜け出せなかった。
「…ん…」
背中には柔らかいものを感じる。
いい匂い…。
どこかで嗅いだことのある匂いなんだけど…。
まぁいいか、気持ちいいし。
…いや、よくないだろ。
たしか私、相良と飲んでたはず。
帰ってきた記憶が怪しい。
それに。
私、一人暮らしじゃなかったっけ?
自分が寝てるのに、音がしてるって…。
「水、出しっぱ!?…って…え?」
慌ててガバッと起き上がった視界に広がったのは。
見慣れた私の部屋ではなかった。