嘘と微熱と甘い罠

微睡む頭の中。

パシャパシャと微かに水の音が聞こえてきた。

なんだ今の夢。

なんて夢見てんだろ、私…。

薄らとまぶたの向こうに感じたのは、光で。

でもこの微睡んだ時間から抜け出せなかった。





「…ん…」





背中には柔らかいものを感じる。

いい匂い…。

どこかで嗅いだことのある匂いなんだけど…。

まぁいいか、気持ちいいし。





…いや、よくないだろ。

たしか私、相良と飲んでたはず。

帰ってきた記憶が怪しい。

それに。

私、一人暮らしじゃなかったっけ?

自分が寝てるのに、音がしてるって…。





「水、出しっぱ!?…って…え?」





慌ててガバッと起き上がった視界に広がったのは。

見慣れた私の部屋ではなかった。



< 140 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop