嘘と微熱と甘い罠
資料室と会議室
懸念していた寝坊も。
眠れなかったから心配いらなかった。
でも。
そのせいで目の下の隈が酷い。
最近考え事ばっかりしてるから余計なんだろう。
それをなんとかメイクでごまかして。
オフィスへ足を進めた。
笠原さんからのメールは返信しなかった。
気付いた時間も時間だったし。
会社に着いてからメールすればいいかと思ってた。
【ごめんなさい。気付いたのが遅くて返信できませんでした】
…って。
「…以上で会議を終了します」
その声に、ピリピリと張りつめていた空気が一気に緩むと。
ガタガタと一斉に立ち上がり、会議室から出ていく。
人がいなくなっていく会議室で。
私はひとり、ため息を吐いた。