嘘と微熱と甘い罠
お誘いと決断
「お疲れさまでしたー」
「お先にー」
オフィスに響く声。
パソコンの横に置いてある時計も、壁に掛かっている時計も。
全ての時計が5時30分、終業の時刻だ。
「お疲れさまでーす…」
パソコンとにらめっこ中。
視界の端に入るオフィスから出ていく数名の背中を見送る私。
あーもー…。
残業なんてしたくない。
私も、かーえーりーたーいー…。
定時で終わるはずだった。
それなのに。
…課長のやつ!!
終業間近に仕事持ってくるなんて。
私に何か恨みでも!?
「下着メーカーとウチのブランドでコラボが決まったから。天沢、担当して」
コラボって、異種業界でやるから面白いんじゃないですか?
ウチは下着は扱ってないからある意味面白いかもしれないけど…。
…パートナーが悪い。
課長、私あなたに何かしましたか…?