嘘と微熱と甘い罠

デスクに戻り、なんとか企画案もできた。

後は先方からどんな案が出てくるか、だなぁ…。

首をコキコキ左右に動かし、ゆっくり回す。

座りっぱなしはキツイわ…。





さっきまでの邪念はなんとか追い払い。

とりあえず仕事は目処がついたし、今日は終わり。

パソコンを閉じながら周りを見渡すと。

相良と私以外の人間はもう帰ったようだった。





「なぁ、飯食いに行こうぜ」





同じように首を回したり、伸びをしながらパソコンを閉じていた相良が言う。

そういえば、お腹が空いてきた気がする。

時計に目をやると8時を過ぎていた。





でも、相良からのお誘い。

今までなら「行く行くー」って二つ返事だったのに。

なんか意識しちゃって返事ができない。

そんなに意識することなんて、ないのに…。





「んな構えるなって」





“どうしよう”と思ったのが顔に出てたのか。

相良は苦笑気味に言葉を続けた。




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