嘘と微熱と甘い罠
「“抱きたい”とか“キスしてぇ”とか言ってるけど、無理矢理どうこうしたいわけじゃねぇんだから」
「はっ?」
無理矢理でいいんならこの間ヤッてるし。
軽く笑いを含みながら。
相良は首をコキコキ左右に動かした。
…いやいやいやいや。
そっちが問題なんじゃなくて。
私の気持ちが問題なんだって!!
それに相良。
あなた、この間私がキスしようって言った時、拒否しませんでしたっけ?
私が傷つく、とか言ってたけど。
あれはどういう意味だったの?
そう言葉に出そうになったとき。
相良がほんの少しだけ真面目な顔をみせた。
「それに俺、浮気相手になるつもりはねぇから」
相良の言葉に。
私の胸の奥が揺れた。
浮気相手になるつもりないってことは。
笠原さんと別れろって、言っているんだろうか。