嘘と微熱と甘い罠

そんな私の気持ちは気付かれてしまっているのか。

手にしていたビールをクイッと飲み干し、空にしたジョッキをテーブルに置いた相良は。

私の正面に座っていた体を動かし、隣に移動してきた。

そして。

私と目を合わせた。





「やっぱり俺、天沢が動くの待ってらんねぇみたい」





自嘲気味に笑みを浮かべながらも、真っ直ぐな何の迷いもない視線は。

私の体を拘束するかのように絡みついてくる。

その視線に、私の心臓がドクドクドクと暴れだし。

ギュッと掴まれているような錯覚を起こす。





「…なぁ、天沢」





絡みついてくる相良の視線は。

何もかもを見透かしているようで。

視線と同じように。

相良は私の体に腕を巻きつけると。

私をグイッっと抱き寄せ、そのまま囁いた。





「…俺の部屋、連れて帰っていい…?」





耳元で囁かれた声はゾクリとするほど甘く。

身体の奥から熱を沸かせた。





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