嘘と微熱と甘い罠
仕事と私事
「…いいんだな…?」
「…うん」
「…後悔、すんなよ…?」
「…しない」
「…もう、戻れないからな」
「…わかってる」
しつこいくらいに確認をした相良は。
身体をゆっくりと私から離すと。
キシッというスプリングが軋む音と共に。
私の身体をベッドに沈ませた。
薄暗く光を落とした部屋。
ほんのり漂う、爽やかだけど…甘い香り。
まるで彼に包まれているような、そんな錯覚を起こしそうになりながら。
私は覆い被さってくる相良の向こうに見える天上を見ていた。
「こら、どこ見てんだよ」
「や、恥ずかしくて…」
「これからもっと恥ずかしいことすんのに?」
「そ、そういうこと言わないでよっ!!」
かろうじてまだ服がお情け程度に引っ掛かってはいるものの。
その空間に私の胸元は晒されていた。
そして。
目の前には惜し気もなく上半身を晒した彼…相良がいる。