嘘と微熱と甘い罠
何回目になるのか、もうわからない。
「あ…ッ…や、ダ…ェ…ッ」
「…まぁだダメ」
「な…んッ…」
もう少しなのに、その瞬間指の動きは緩まって…イカせてもらえない。
もどかしい、狂いそうなほどの焦燥感。
“もう少し”の快感を求めて無意識に揺れてしまう私の身体に。
相良は目を細め、唇の端っこを持ち上げる。
「…欲しいなら欲しい、っておねだりしてみ?」
…わかってるくせに。
もう無理、限界。
これ以上耐えられないよ…。
意地悪な相良の言葉にコクコクと頷くと。
私は目の前にある相良の頬に手を伸ばした。
「さが…ッ……も…ちょう、だ…」
“欲しい”なんて。
笠原さんにだってこんなこと言ったことない。
素のまんまだったら絶対に言わない。
だけど。
私はもう普通じゃなかった。
相良の声に、仕草に、熱に。
心も身体も、犯されてしまったんだから。