嘘と微熱と甘い罠
「おはよう」
「…おはよ」
平然としてる相良とは正反対に、心臓大暴れの私。
こんなに意識しちゃってるのは私だけだ。
相良はいつもとなにも変わらない。
チラリ、横を見れば。
やっぱり相良はいつも通り。
慣れた手つきでパソコンを立ち上げている。
キーボードを叩いたり、デスクに置いてある資料をパラパラと捲ったり。
相良の指先は器用に動く。
…あぁ、私。
昨夜はあの指に触れられたんだっけ。
なんて。
長くて骨っぽい相良の指を見ていたら、そんなことを思い出す。
や、いけない。
朝からなんてことを考えてるんだ、私は。
ブンブン、と頭を振り邪心を振り払おうとするけれど。
スルスルと素肌を這い回る相良の感触を思いだし。
身体の奥がズクンと波を打った。
その時。
パソコンの画面を見ていた相良がクルン、とこっちを向いた。