嘘と微熱と甘い罠

…ヤバい。

見てたの気付かれた?

だとしたら、恥ずかしすぎるって。

ドクドクドクと、体を流れる血液の流れがわかるようで。

その流れにのって、熱が集まりそうな顔をさりげなく逸らそうとすると。

相良が口を開いた。





「課長から聞いた?」

「へっ!?」

「コラボの件。週明け打合せするって」

「あ、あぁうん、聞いた」

「バラバラにやって頭で考えてるより、話しながらの方がいい案出そうじゃねぇ?」





それ、と言わんばかりに指をさしたのは。

私のデスクに広がった資料の山。





「先方に提示するんだって、こっち側の意見がまとまってないんじゃ話にならないしな」





そう言いながら、さっきパラパラと捲っていた資料を手元にまとめた相良は。

「ミーティングルーム使いまーす」と声をあげた。

そして、私のデスクに広がっていた資料もパパッとまとめると。

「行くぞ」と、私をミーティングルームへと促した。




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