嘘と微熱と甘い罠

部署内にあるミーティングルームは。

その名の通り、ちょっとした打ち合わせや面談なんかに使われる内々のスペース。

こじんまりしてるから、お互いに気を張らないで話ができる。





…でも。

今は2人きりにはなりたくなかった…。

だってさ。

昨日の朝まで考えてもいなかったこと、考えちゃって。

頭の中に如何わしい映像が…。





さっきもそう。

指先はキーボードを叩いているだけなのに。

私が触れられているような気分になる。

視線に熱なんてまったくないのに。

昨夜、私の上にいた相良の欲を含んだ瞳を思い出す。





…こりゃ、重症だわ…。

脳内ピンク色を払拭するように、ブンブンと頭を振り。

なるべく相良を見ないように…と。

背中を向けて窓のブラインドを上げようとしたとき。

後ろからフワッと、爽やかな香りが私を包んだ。




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