嘘と微熱と甘い罠
「痛っ!!」
「なんて言うわけねぇだろが」
私のおでこを指で弾いた相良は。
不機嫌な顔はそのままに、顔を覗き込んできた。
「んな…っ!?」
ち、ち、ち、近いっ!!
近い、近い、近いっ!!
なんてそんな近づく必要があるのよっ!!
距離をとろうと後退ろうにも。
私が下がった分だけ相良も距離を詰めてくる。
気付いたら、私の背中には冷たい壁の感覚があった。
「顔に丸出しなんだよ、お前」
「な…っ」
「だから誤魔化そうなんて無駄なことすんな」
片手を顔の横にトンッ、と置かれ。
私は壁と相良に挟まれた。
「ちょ…っ、離れてよっ!!」
「何があったか話したら考えてやるよ」
「な…っ!!」
背中にはひんやりとした壁。
目の前には眉間にしわを寄せた不機嫌全開の相良。
そして。
こんな状況なのに、身体の熱が上がっていくのを感じていた。