嘘と微熱と甘い罠

「今日、飯でも行くか」

「えっ!?」

「最近構ってやれてなかったし。飯の後、たっぷり構ってやるから…な?」

「…か、笠原さんっ!?」





周りに聞こえないように。

小さく小さく。

私の耳元に唇を寄せ、意味ありげなセリフを囁いた。





もう、それだけで。

私の心臓は上下左右に暴れまわる。





…笠原さんっ!?

仕事中なのにそんなこと言うなんて…。

反則でしょー!!





笠原さんの言葉の意味を、頭で考えなくても身体は理解してて。

身体の奥の方から熱が上がってくる。

その熱はどこから発散しようか、とでも言いたげに。

爪先から指先、頭の先。

身体中を駆け巡る。






< 22 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop