嘘と微熱と甘い罠
「今日、飯でも行くか」
「えっ!?」
「最近構ってやれてなかったし。飯の後、たっぷり構ってやるから…な?」
「…か、笠原さんっ!?」
周りに聞こえないように。
小さく小さく。
私の耳元に唇を寄せ、意味ありげなセリフを囁いた。
もう、それだけで。
私の心臓は上下左右に暴れまわる。
…笠原さんっ!?
仕事中なのにそんなこと言うなんて…。
反則でしょー!!
笠原さんの言葉の意味を、頭で考えなくても身体は理解してて。
身体の奥の方から熱が上がってくる。
その熱はどこから発散しようか、とでも言いたげに。
爪先から指先、頭の先。
身体中を駆け巡る。