嘘と微熱と甘い罠
相良が寄せる唇は。
胸元に小さな痛みと小さな印を刻んでいく。
私の素肌より少し冷たい唇なのに、熱くなった身体に更に熱を与える。
「んッ…や…」
…もう…いっそのこと。
このままこの熱に身を委ねてしまおうか…。
そう思った時。
相良が胸元から唇を離し、顔を上げた。
そして、ほんの数秒。
上目遣いで私と目を合わせたとき。
私は相良の熱を含んだ視線が絡みついてきた。
…それなのに。
「…過去データからも市場調査からもわかるけど、女性が下着を選ぶポイントには“キレイにみえる”ってのが必ずある」
え…?
何を言って…。
突然始まった相良の仕事口調に、目が点。
何がどうなったのか理解できなくて。
私の頭の中は“?”でいっぱいだった。
でも相良は。
そのまま私の胸元で、淡々と言葉を紡ぎ始めた。