嘘と微熱と甘い罠
呆れたような、不機嫌なような。
そんな顔を見せながらため息を吐く相良に対して。
ニヤリ、と口角を上げる笠原さん。
「お前に言われたくないな、モテ男」
「笠原さんには負けますよ」
「イヤミか」
「いえ、素直な気持ちです」
この2人、いつもこうだ。
仲がいいのか悪いのか。
新人研修の時からああ言えばこう言う、の繰り返し。
でも。
笠原さんの仕事は尊敬する、と。
飲みに行くとよく言っている。
…だったらなんであんなケンカ腰なんだろうね。
そこは不思議なところだ。
「…で、ポスターのダメ出しだって?」
「ダメ出しなんて…」
「まぁ、そんなとこです」
「ちょっ…相良っ!?」
笠原さんの言葉に。
「そんなつもりはないんですけど…」と、言葉を続けようとしたら。
相良がサラッと言葉を吐いた。