嘘と微熱と甘い罠
「ちょっ、相良!?」
「課長に別案出せって言われてたの忘れてた」
「え?」
課長にって…。
その課長が相良と私に宣伝部に行ってこいって言ったんだよね?
しかも。
別案ってなに?
何の別案?
心当たりが全くないんですけど。
「忘れてた、なんて相良らしくないな」
「色々忙しかったもんで」
相良はすみません、と軽く頭を下げると。
私を見た。
「天沢、今日空いてるよな?」
「はい?」
私の頭の中“?マーク”がクルクルしてる。
相良の言葉の意味がよくわからない。
話の流れに乗れない私は放置され。
相良はさらに言葉を続けた。
「そういうことなんで。この件は今夜飲みながらにしません?」