嘘と微熱と甘い罠
「招待状渡してないの!?打ち合わせ、来週なんだよ!?」
「…忙しくて渡すタイミングがないんだよ」
「引き出物だって考えてって言われてるのに」
「わかってるって…」
…話の内容的に結婚式、かな…?
どなたか知りませんが、お幸せに…。
耳に入る会話が。
今の自分とは縁遠い話ことに居心地が悪くなってきて、腰を浮かしかけたその時。
…あれ?この声って…。
「私が天沢さんと相良くんに渡してくるよ」
「…あの2人は俺が渡すから。いきなりユリが渡したらなんのことだかわからないだろ?」
聞き覚えのある男の人の声に名前。
そして、突然聞こえた自分と相良の名前に足が止まった。
「私ならシュウゴほど忙しくないし」
…“シュウゴ”?
シュウゴって…だって、あの声…。
その声と名前に心臓がバクバクと音をたて始めた。