嘘と微熱と甘い罠
「え…?」
相良の言葉に耳を疑う。
ちょっと相良!?
今日は笠原さん、私とご飯行く約束したんだよ!?
行けるわけないじゃん!!
断りの言葉が出ると思ってた。
でも。
笠原さんの口から出た言葉は、私の予想とは正反対のものだった。
「…そうだな。たまには相良とも飲みたいし」
「えっ!?」
今度は笠原さんの言葉にビックリ。
だって。
だって笠原さん、さっき「今日、飯でも行くか」って…。
「俺らは定時で上がれるんで…場所はどうします?」
「お前に任せるよ」
「じゃあ、連絡します」
そう言って、ペコリと頭を下げると。
相良はクルリ、と振り返りまた歩き出してしまった。
「じゃあ、また後でな」
「え、ちょっ…」
笠原さんも忙しいせいか。
相良との話がまとまると、私の頭にポンポンと軽く触れると。
また自分の部署に戻っていってしまった。