嘘と微熱と甘い罠
「だったらなおさら。仕事の話するっつーんだからドタキャンはありえねぇだろ?」
思いもしなかった相良の言葉に。
私の動きが止まる。
…ねぇ、それって。
もしかして…?
「私の、ため…に…?」
「天沢が“会えない、会えない”ってうるさいから一肌脱いでやったのに。感謝される覚えはあっても怒られる覚えは全くないんだけど」
相良のぶっきらぼうなその言葉は。
私の中にスルッと入ってきて、胸の奥の方をキュッと掴んだ。
私はあまりの嬉しさに思わず相良に飛びついてしまった。
「相良ぁ、ありがとーっ!!」
「うおっ!?おま、やめろっつーの!!」
くっついた私を剥がそうと相良は必死だったけど。
そんなの無視。
だって、嬉しいんだもん。
笠原さんと会社以外で会える。
それだけで私は頑張れる。
グッジョブ、相良!!