嘘と微熱と甘い罠
私的に相良にはさっきの返事をもらえれば今はよかったんだ。
それなのに。
「大丈夫か?」
「…相良こそ、外回りお疲れさま」
「…おう」
私は相良と2人。
さっきまで課長と話をしていたミーティングルームにいる。
いや厳密には、相良と2人。
課長にミーティングルームに突っ込まれたのだ。
ホンットに余計なお世話!!
今、二人きりにされて何を話せって言うんですか。
こんな気回さないでいいから、空気読んでください。
この際だから、もう一度言わせてもらいます。
ホンットに余計なお世話!!空気読め!!
…なんて。
課長への苛立ちを堪えていたら。
「…余計なお世話だっつーの、な?」
「え?」
ハァァァァァァ、と盛大なため息と一緒に言葉を吐く相良は。
そのまま言葉を続けた。
「課長。そんな気ぃ回せるなら仕事しろってんだよ」
あれあれ、とミーティングルームの外を指差しながら。
相良はまたため息を吐いた。