嘘と微熱と甘い罠
…なんだ。
相良も同じこと考えてたんだ…。
なんて、ちょっと気が緩んだとき。
相良がミーティング用の少し大きめな机に、腰を預けながら言葉を発した。
「…7時には終わるようにするけど」
「え?」
「さっきのメールの返事。飯、行くんだろ?」
「え、あ…うん」
メール、読んでくれてたんだ。
よかった…。
大丈夫かな、ちゃんと伝えられるかな…。
返事をもらえてホッとすると同時に。
ドキドキと小さく揺れていた心臓は、バクバクと大きく動き出す。
別に今言うわけじゃないのに、なんでドキドキしてるのよ!!
勝手に暴走しようとする心臓を静めるように。
私は大きく息を吐き出した。
「あの、さ…」
息を吐き出したと同時に相良が口を開く。
そして。
私から顔を背けると、ボソリと呟いた。
「…あれだけのタンカきっといて、笠原さんとやり直したいとか…そんな話してぇんだったら。俺、聞かねぇからな」