嘘と微熱と甘い罠
笠原さんとやり直す!?
そんなこと思ってもない!!
「ちっ、違うよっ!!」
「あ、そ。なら聞く」
私の言葉に愛想なく返事はしたけれど。
プイッと他所を向いた私から見える相良の横顔は。
不機嫌丸出しで、でもほんのり頬を染めていて。
拗ねたような、てれてるような。
そんな子どもみたいな顔をしてる。
…もう、ヤダ。
そんな顔見せられたら、勘違いしたくなるよ。
私が抱えてるこの気持ちが、相良にちゃんと伝わるって。
そう思いたくなるよ…。
「相良、あのね…」
ギュッと拳を握る。
身体中が心臓になったみたいにバクバクしてる。
でも…。
好き。
相良が好き。
仕事中にする話じゃないってわかってる。
でも我慢できない、待ってなんていられない。
もう誤魔化したりしないから、ちゃんと聞いて欲しい。
「ちょっと待て」
意を決して発しかけた私の声を遮ったのは。
私が話を聞いてほしいと願っている相良本人の声だった。