嘘と微熱と甘い罠

企画部に戻ると。

帰ったはずの私がまた戻ってきたから、課長はビックリしていたけど。

事を話せば「…営業まわるか?」と恐ろしいお言葉。

いやいや、無理です。

「天沢がとってきた仕事だからな、組む相手は…相良だな」

そう言って勝手に納得してるけど。

課長の中で、相良と私はまだ2人で1組ですか?





何にしても窓口が必要だから、と。

営業部にいる同期を捕まえて、担当になってもらえないか頼んでみたら。

「飛び込みでそこまでいければ上等!!」と。

この件を気分よく引き受けてくれた。

その後に聞こえた「楽して1件頂いた…」と言う呟きは。

聞かなかったことにしておこう…。





「…で、なんでお前は仕事してるわけ?俺、終わったら連絡するっつったよな?」

「えー…っと…」





そして今、私は。

眉間に青筋が見えるんじゃないかって…いや。

実際に浮かんでいて、かーなーりご立腹の相良を横目に。

キーボードを叩いていた。




< 308 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop