嘘と微熱と甘い罠
企画部に戻ると。
帰ったはずの私がまた戻ってきたから、課長はビックリしていたけど。
事を話せば「…営業まわるか?」と恐ろしいお言葉。
いやいや、無理です。
「天沢がとってきた仕事だからな、組む相手は…相良だな」
そう言って勝手に納得してるけど。
課長の中で、相良と私はまだ2人で1組ですか?
何にしても窓口が必要だから、と。
営業部にいる同期を捕まえて、担当になってもらえないか頼んでみたら。
「飛び込みでそこまでいければ上等!!」と。
この件を気分よく引き受けてくれた。
その後に聞こえた「楽して1件頂いた…」と言う呟きは。
聞かなかったことにしておこう…。
「…で、なんでお前は仕事してるわけ?俺、終わったら連絡するっつったよな?」
「えー…っと…」
そして今、私は。
眉間に青筋が見えるんじゃないかって…いや。
実際に浮かんでいて、かーなーりご立腹の相良を横目に。
キーボードを叩いていた。